「闘将!!拉麵男」 著 ゆでたまご
80年代に一斉を風靡した「キン肉マン」の絶頂期に描かれたスピンオフ作品ですね。
「キン肉マン」に出てくる人気超人、ラーメンマンの若かりし頃の活躍を描いた作品です。
「キン肉マン」が集英社の総本山である少年ジャンプで毎週連載されていたのに対し、本作はフレッシュジャンプという月刊紙で掲載されていました。
子どもの頃、この作品読みたさにフレッシュジャンプを買っていた記憶があります。
さて、物語なのですが、ギャグ漫画から格闘漫画に移行した際に、一つの編をある程度長く物語る「キン肉マン」に対し、本作は当初一話完結の話で連載されていました。
これは週刊誌に比べてページ数が確保出来たからの所以だと思いますが、これがある意味で「キン肉マン」との違いを出していてよかった。
ストーリーそのものは、若干雑ではありますが、ゆでたまご先生の良さは、想像力を持って思い切りよく進むところなのでそれはそうものとして受け入れられて楽しめるんですよね。
ただ物語の中盤あたりからネタが尽きてきたのか、1話完結だったものか、2〜3話完結となり、最終的には「キン肉マン」と同じく一つの話がシリーズものとして大きくまとめられていくようになっていきます。
正直、これはよくなかった。
それまでのスピンオフとしてのこの作品の良さを消してしまうと同時に、「キン肉マン」の二番煎じを再現することになってしまったわけですからね。
しかも「キン肉マン」には友情という大きなテーマがあり、そこを長いスパンの中で丁寧に描いていたのに対し、本作は明らかに路線変更によってなし崩し的に話をシリーズものにしてしまったので、「キン肉マン」と同じように友情をテーマにしても肝心のそこがちゃんと描かれていないから空々しく見えてしまうんですよね。
実際、ラーメンマンの親友として、蛾蛇虫や砲岩などが出てきますが、最初はまるっきり悪人として描かれ、しかも死んでいるんですよね。
でも、それがいつの間にか生き返っていて、いつの間にかラーメンマンの親友ということになり、ラーメンマンとともに戦うことになっている。
いくら、細かい設定を気にしないのがゆでたまご先生らしさといっても、さすがにこれはちょっとやり過ぎです。
「キン肉マン」は友情をテーマに描いているだけあって、友情を持つまでに至るストーリーが丁寧に描かれているんですよね。
そこを描かずに友情を軸に描こうとしても、さすがに無理はあると思いました。
ラーメンマン以外に魅力的なキャラが出来ませんでしたしね。
結果的にこのスピンオフ作品は、途中で打ち切りとなり、寂しい形でブツッと話が半端なところで終わるわけですが、最初のうちが面白かっただけに残念です。
ちなみに「キン肉マン」でラーメンマンが初出したときは、残虐超人という悪役でした。
なぜ若かりし頃は正義の塊のような人間であったラーメンマンが、残虐超人に成り下がったのか。
アナキン・スカイウォーカーばりのエピソードが読みたかったですね。
まあ、おそらくは最初は残虐著人のつもりで書き、人気が出てきたから正義超人になり、それに合わせてスピンオフ作品が出来たというのが実情でしょうが。
辻褄合わせでもいいので、ゆでたまご先生、描いてくれないかな……。